【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第15章 A Lullaby In My Heart
数週間の共同生活で分かったのは、エレンは巨人に対する憎しみを抱いている事以外は、ごく普通の少年だということ。
掃除の心得がまったく無かったので、基本から叩き込むのは苦労した。
しかし、エルドを筆頭とした特別作戦班のメンバーとはそれなりに打ち解けたようだった。
待機命令が出てから2週間がたったある日。
リヴァイはエレンの姿を探して、旧本部を歩いていた。
「オイ、オルオ」
「はい、兵ち・・・イテッ!」
広間の床を磨いていたオルオに声をかけると、相当嬉しかったのかテーブルの角に頭をぶつける。
「なんでしょう!?」
「・・・エレンがどこに行ったか知らねぇか?」
「あのガキっすか?」
リヴァイの口からエレンの名前が出た瞬間、オルオは不機嫌そうに顔を歪めた。
この男は、何故かまだ15歳の新兵と張り合おうとする。
実力も、実績も雲泥の差だというのに・・・
「ああ。エレンを探してる」
「兵長、ことあるごとにエレンエレンって、あの野郎のどこが良いんすか?」
「・・・おい、誤解を招くような言い方はよせ。おれはあいつを見張るよう言われてる」
しかし、オルオはやっぱり悔しそうに唇を噛んだ。
「やっぱ気に入らねぇ。あんなションベン臭いガキに兵長が付きっ切りになるなんて!」
怒るべき場所がズレている・・・
リヴァイは頭痛さえ感じながら、オルオが磨いていた床を指差した。
「・・・もういい。お前はこの部屋の床の隅から隅まで、その不細工な顔が映るまで磨け。いいな」
「は!」
もうこいつのことは放っておこう。
やはり特別作戦班に指名したのは間違っていたか・・・?
ため息を吐きながら、リヴァイは庭の方に足を向けた。
もしかしたら、洗濯をしているのかもしれない。