【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第15章 A Lullaby In My Heart
巨人に変身されても被害が少なくてすむよう、その少年は地下牢に幽閉されていた。
収監された時は酷く衰弱していたと聞く。
今はだいぶ回復したのか、体を起こしてこちらを見ていた。
しかし、両手を重い鎖に繋がれているせいか、恐怖と混乱が混ざり合った表情をしている。
「調査兵団に入って・・・とにかく巨人をぶっ殺したいです」
エルヴィンとリヴァイの問いかけに、そう答えた少年。
その目は猟奇的で、その言葉は残虐性に満ちていた。
鉄格子を隔てながら彼を見つめているうちに、リヴァイの脳裏にある面影がよぎる。
「ほぅ・・・」
こいつは間違いなく化け物だ。
「悪くない・・・」
こいつは人類の敵になり得る存在。
ガシャリと鎖の音を立てながら、少年はリヴァイを見上げた。
その緑色の瞳には、人間性をも失ってしまいそうなほどの意志の強さを感じる。
いや、狂気に近いか。
ああ・・・こいつかもしれない。
「・・・エルヴィン、コイツの世話は俺が責任持つ。上にはそう言っておけ・・・」
心の奥底に封印したはずの声が聞こえてくる。
この化け物を守ってほしい、と。
俺以外には適役がいない、と。
そしてリヴァイは冷たい声で言った。
「認めてやるよ。お前の調査兵団入団を・・・」
この選択が、どのような結果をもたらすのかは分からない。
ただ、エレン・イェーガーは何があっても自分が守らなければならない。
そう感じてならなかった。
その後、エレンは調査兵団預かりとなり、旧調査兵団本部でリヴァイと寝食を共にすることとなった。