【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第15章 A Lullaby In My Heart
「一人は体が弱いけれど、とても頭の良い子でした」
小柄で貧弱だけど、聡明な目をした少年。
「一人は私と同じ、東洋人の血を引く女の子でした」
どことなくリヴァイと似た雰囲気を持っている。
その強さのせいか、それとも守ると決めた人への一途な気持ちのせいか。
「そして・・・もう一人はとても意志が強く、一歩間違えれば人間性を失ってしまいそうな子・・・」
だから三人の中で一番心配だった。
いつも仲間とケンカばかり・・・
「要するに、化け物じみた野郎ってことか・・・?」
サクラは笑った。
「はい、そうかもしれません」
誰よりも自由に憧れ、誰よりも巨人を憎んでいる。
その強い心は、リヴァイの言うそれに一番近いかも知れない。
サクラは真っ直ぐな瞳を思い出しながら口を開いた。
「どんな力で押さえようとも、どんな檻に閉じ込めようとも、あの子の意識を服従させることは誰にもできません」
だから、心配なんです。
巨人を駆逐し尽くすまでは、身や心がボロボロになっても突き進むだろう。
そのくせ、かわいそうなまでの純粋さを持っているから・・・
「お願いです、リヴァイ兵長・・・その子は来年、必ず調査兵団に入ってきます。どうか、彼を守ってあげてください」
リヴァイは小さく舌打ちをした。
「・・・お前がそんなに気にかけている奴だと思うと・・・なんか気に入らねぇな・・・」
「でも、兵長のことだから、きっと守ってくれるんでしょうね」
「・・・・・・・・・」
髪を撫でる優しい手が眠気が誘うからだろうか。
なんとなくサクラの声が遠くなっていくような気がする。
「リヴァイ兵長もきっと気に入りますよ・・・とても良い子なので・・・」
「どうだかな・・・・・・」
少しずつ思考力が弱まっていく。
瞼を重たそうにしながら、微笑むサクラを見上げた。
「で・・・その・・・ガキの名は・・・・・・?」
サクラが名前らしき言葉を口にした。
しかし、それは音として聞こえない。
そこで、プツリと糸が切れるようにリヴァイの意識が完全に途切れた。