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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第15章 A Lullaby In My Heart




トクン・・・トクン・・・とリヴァイの鼓動が伝わる。


「・・・とても温かいです」

すると、リヴァイは片腕をサクラの背中にまわし、互いの体がさらに密着するよう抱き寄せた。

「お前も温かい」

なんて静かで、穏やかな時間なのだろう。

トロスト区の前門から出発し、ここにたどり着くまで、巨人の血で手を汚してきたというのに。
仲間の死体を踏み越えてきたというのに。

夜の帳は、優しく二人を包み込む。


「夜明けまであと2時間か・・・」
リヴァイが呟くようにして繰り返した。
そして、サクラの顔を覗き込む。
「それまでに変な気を起こさねぇようにしないとな」
サクラは職務中だし、誰に見られるか分からない。
それでも残念そうにしているリヴァイが可笑しくて、サクラは微笑みながら薄い唇にキスをした。

「では、お話をしませんか?」

「話?」

「他愛のない話でいいんです。好きな食べ物は何かとか、初恋はいつだった、とか」

思えば、二人っきりで長い時間話すことなどなかった。
内容はなんでもいい。
お互いのことをほんの少しだけ深く知れるなら・・・

「・・・・・・・・・・・・」

リヴァイは、口元に拳をあてて少し考え込んでから、星空を見上げた。

「好きな食い物は特にねぇな。紅茶は好みがあるが・・・飯は食えればなんでもいい」

缶詰だけでもいいし、硬いパンだって気にしない。
腹にたまればみんな一緒だ。

そして、今度はサクラの方に目を向ける。


「もし、俺がお前に対して感じている、この気持ちを恋だというのなら・・・」


体温を確かめるかのように頬を撫でながら、ポツリと呟いた。


「俺の初恋は今、お前ということになるな」


体の関係を持った女はたくさんいる。
目を離していると心配で、一緒に住んでいた女もいた。

だが・・・

ここまで愛おしく、失うことが怖い存在。
抑えられないほどの欲望を掻き立てる存在。

そして、ずっと笑顔を見ていたい存在。

それはサクラ、お前が初めてだ。


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