【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第3章 Seize the Light
そんなリヴァイの姿はサクラにとって意外だった。
もしかしたら、この人は思っているような人物とは違うかもしれない。
もっと・・・温かい人なのかも・・・
そんなサクラの考えを知ってか知らずか、リヴァイは辺りを見回して口笛を吹いた。
すると、信じられない光景が目に飛び込んでくる。
リヴァイの合図で駆け寄ってきたのは、2匹の馬。
片方はリヴァイの馬で、もう片方は・・・
「シェリー!」
シェリーはサクラの顔を見ると、嬉しそうに駆け寄ってきた。
「自分で乗れるな」
「はい」
サクラが多少ふらつきながらもシェリーの背中にちゃんと乗ったのを見てから、すぐにリヴァイも軽々と馬に跨った。
調査兵団が使う馬は、とても利口で複数の口笛を一度に聞いてもどれが主のものか聞き分けることができる。
それなのに、なぜシェリーはリヴァイの合図に反応したのだろうか。
そういえば・・・さっきも・・・・・・
“その馬のことなら、俺の方がよく知っている”
確かにそう言っていた。
「リヴァイ兵長」
「なんだ」
「なぜ、この馬のことをよくご存知なのですか?」
「・・・お前、俺の馬を見ても何も思わねぇのか」
リヴァイ兵長の馬・・・?
シェリーの少し前を走るリヴァイの馬を見て、初めて気がついた。
毛並み、たてがみの生え具合、瞳、鼻の形・・・そっくりだ。
「こいつとお前の馬は双子馬だ。ただ、こいつは雄でお前のは雌だがな・・・気性や体力はまったくと言っていいほど同じだ」
それで納得ができた。
シェリーは、リヴァイ兵長の馬と対になっていたのか。
もしかしたら、シェリーがサクラと出会う前はリヴァイ兵長が世話をしていたのかもしれない。
だからシェリーはリヴァイ兵長に心を許していたのか。
ごめんなさい。
貴方の大事な馬と命を分けた馬を、少しでも疑ってしまって・・・
「兵長。私、シェリーを大切にします」
一気に針葉樹のカーテンが開け、一面に草原が広がった。
「当然だ・・・」
ぶっきらぼうに言ったリヴァイの声は、とても優しかった。