【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第14章 Blow-job and Heart-job ※
「リヴァイ兵長」
ツーブロックのうなじから、大人の香りがする。
直毛気味の黒髪が頬をくすぐった。
・・・目眩がしそう。
「あの、もうずっとしてませんけど、お体はつらくありませんか?」
「・・・?」
一瞬、言葉の意味が分からなかったのだろう。
リヴァイは首を傾げたが、すぐに気がついて小さくため息を吐いた。
「つらいに決まってんだろ。今だって暴発しそうだ」
抑揚の無い声だから分からないが、もはや限界にきている。
できることなら今すぐにだって押し倒したい、だが・・・
「お前、生理なんだろ。なら、無理させるわけにはいかねぇ」
「すいません・・・」
「謝るなら、さっさと離れろ。胸が背中に当たってる」
サクラが怯んで後ずさりをすると、リヴァイは椅子を回して向かい合わせに座った。
そして少し背中を丸めながら、苦しそうな表情で見上げてくる。
「俺の我慢にも限度がある。わざわざぶち壊すようなマネはするな」
「でも、私は・・・」
リヴァイはサクラの言葉を遮るように盛大なため息を吐くと、声を搾り出すようにして俯いた。
「・・・俺はこれでも反省してる」
「反省? 何故です?」
「あの日・・・いくらお前を死なせたくなかったからといって、お前の傷口を抉るような事を言った」
“ お前があの男に特別な感情を抱けば、あいつの辿る運命は一つだけ。俺に殺されるしかなかっただろう”
あの言葉の直後、サクラは初めてリヴァイに・・・否、他人に対して怒りの感情をぶつけた。
自分の欲望のために他人の命を軽んじる人間だと、蔑んだ。
そしてなにより、そんな事を平然と言える、この・・・
「俺が怖かったろ」
サクラの心を見透かすように、リヴァイは自嘲気味に言った。