【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第14章 Blow-job and Heart-job ※
「入るぞ」
ドアをノックもせず、ずかずかと作業場に入るリヴァイ。
あれ? と振り向いた部屋の主であるハンジの頭上に、わざと箱の中身をぶちまけた。
「いたたたた!!」
何冊もの分厚い本がハンジの頭を直撃する。
「何をするの、リヴァイ!」
「うるせぇ、クソメガネ。こんなに重てぇモンを運ばせやがって」
「重い? リヴァイだったらどうってことないでしょ。というか、なんでリヴァイが?」
そこへサクラが慌ててやってきた。
そして、部屋を入るなりリヴァイとハンジの様子を見て青ざめる。
「分隊長! 大丈夫ですか?」
「ああ、サクラ。なんともないよ」
苦笑いをしながら、床に散らばった本を掻き集めた。
「それにしても、こんな量になるとは思わなかった。ごめんね」
「いえ、私が多めに持ってきただけですから・・・」
すると、リヴァイが無表情のまま口を開いた。
「サクラはケガが完全に治ってない。こいつに重労働させるのは、この俺が許さねぇ」
「・・・・・・・・・・・」
ハンジはしばらくメガネの奥からリヴァイを静かに見つめていたが、ふと笑顔を浮かべる。
「そうだね・・・ごめん、私が軽率だった。リヴァイの言うとおりだね」
ポンポンとリヴァイの肩を叩くハンジはいつもと変わらない。
しかし、ほんの一瞬だけ・・・不安そうに瞳を揺らした。
リヴァイのこの表情・・・
前にも見たことあるな。
エルヴィンとハンジの意見を無視し、無謀にもサクラと二人で壁外に出ると言い張っていた、あの時の姿と重なっていた。
「用はこれで済んだな? なら行くぞ、サクラ」
リヴァイはサクラの手を強く握った。
「もう夜遅い。今日は俺の部屋に来い」
「は、はい。では失礼します、分隊長」
「・・・おやすみ、サクラ。リヴァイもね」
一抹の不安を抱えながらもそれを隠し、ハンジは笑顔で二人に手を振った。