【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第14章 Blow-job and Heart-job ※
その夜、サクラは大量の本が入った箱を資料室からハンジの作業場へ運んでいた。
石畳の廊下を歩いていると、前から団長がやってくるのが見えた。
その傍らにはリヴァイもいる。
「エルヴィン団長、リヴァイ兵長」
サクラは箱を抱えたまま、廊下の端に寄って上官のために道を開けた。
すると、リヴァイの顔が一瞬にして険しくなる。
「サクラ! お前、何でそんなものを運んでる。寄こせ!」
「えっ」
強引に箱をひったくられ、サクラは困惑した顔でリヴァイを見た。
「どこに持ってくんだ?」
「ぶ、分隊長の作業場へ・・・」
「ハンジか・・・あの野郎、サクラにこんな重てぇモンを運ばせやがって・・・ただじゃおかねぇ」
「リヴァイ兵長・・・」
どうしたというんだろう。
いくらケガをしたといっても、これくらいどうってことないのに。
ちょっと過剰すぎやしないか・・・?
「あの、私は大丈夫です。これくらいの重さなら・・・」
「あ? お前、キズが悪化しねぇと言い切れるのか?」
「それは・・・」
ただでさえ威圧的なのに、さらに凄まれては何も言えなくなってしまう。
「もしまた肋骨に亀裂が入ったらどうする」
有無を言わさず荷物を持って、すたすたと歩いて行ってしまった。
サクラが呆然としていると、後ろからエルヴィンに肩を叩かれる。
「気にするな、サクラ。リヴァイなりの愛情表現だと思っていい」
「はい・・・でも・・・」
「君を失う恐怖を味わってしまったからな。少し過敏になっているのだろう」
それだけならば、いいのだが・・・
エルヴィンは最後の言葉は告げず、サクラに微笑みかけた。
その笑顔に少しだけ安堵する。
リヴァイの事は、自分よりも理解している人だ。
その団長が言うのだから、間違いない。
サクラはエルヴィンに一礼すると、ハンジの部屋へ向かうリヴァイの後を急いで追った。