【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
ふいにリヴァイが、サクラの背中の向こうへ手を伸ばした。
そこには、小さな青い花が一輪咲いていた。
それはお兄ちゃんの墓の前と、ルドルフが息絶えた場所にも咲いていた花。
「勿忘草ですね・・・」
「ずっと気になってた・・・この花の意味は?」
サクラはゆっくりと瞬きをすると、その花を摘んだリヴァイに微笑みかける。
「 “私を忘れないで” 」
すると、リヴァイは手に取った勿忘草をサクラの髪に挿した。
「忘れるな、サクラ。お前がこの先また耐えられねぇような現実に直面し、正気を失っても・・・」
サクラの右手を握り、そっと誓いを捧げるように自分の心臓に持っていく。
「俺が必ず、お前を闇から救い出してやる。何度でもな・・・」
だから、どんなに我を失っても忘れないで欲しい。
この俺がそばにいるということを。
「ありがとうございます・・・リヴァイ兵長」
青い可憐な花とともに微笑むサクラは、もう狂気の欠片すら無かった。
もしかしたら、また闇に飲み込まれるかもしれない。
でもきっとその時は思い出すでしょう。
私が兵士として背負うべき、意志。
そして・・・
リヴァイ兵長、貴方のことを。
リヴァイとサクラは唇を寄せ合い、抱き合った。
今度は互いの愛情を求めるために、優しく、優しく。
そんな二人の周りを、無数の勿忘草が囲んでいた。
第13章 『 Forget Me Not 』 Fin.