【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
同時に地面に倒れこむ。
リヴァイは僅かに残った力を振り絞って、サクラの身体を抱きしめた。
「サクラ・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「生きているか・・・?」
草が付いている頬を撫で、焦点の合わない瞳を見つめる。
「そのままでいいから聞け・・・」
まだ絶頂の淵から戻ってきてないのなら、それでもいい。
ただ、伝えておきたい。
「俺は、お前を心から愛している」
サクラの瞳孔がわずかに開いた。
「サクラと出会えて、俺はこの世界に綺麗な色があると知った」
ラベンダー。
ゼラニウム。
ウォール・マリアの夕陽。
そして・・・
満開の桜。
「この世界で生きるのも悪くねぇ、そう思った」
ずっと・・・誰かを守ることより、目の前の敵を殺すことを優先してきた。
だけど、今は敵を殺すことよりも、お前を守ることを優先する。
「お前という光を失ったら、俺は闇に閉ざされたまま生きていくことになるだろう」
それは、お兄ちゃんの墓の前で父が言ったものと同じ言葉だった。
サクラの両目から涙が溢れる。
「だから、サクラ・・・俺が命にかえても、お前の中に潜む影を抑え込んでやる」
力強い腕。
温かい胸。
ああ・・・
不思議と、ずっと前にも触れたことがあるような気がする。
「・・・ゴロツキさん・・・」
あの地獄のような地下街で私を助けてくれた人の温もりにそっくりだ。
もう顔も、声も覚えていない人だというのに、その感覚だけは残っている。
不思議。
まさか、そんなわけがないのに。