【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
「リヴァイ兵長・・・私はっ・・・どうしたらいいのでしょうか・・・」
貴方を殴ることはできない。
でも、たとえこの腕からすり抜けられたとしても、貴方は自分の命を断つことを許してくれないでしょう。
この先、どうやって自分への怒りを抱えたまま生きていけばいいのか分からない。
「私は、自分が憎くて堪らないんです・・・このままだとまた・・・心を失ってしまいそう・・・」
また、貴方という存在を忘れ、傷を負わせてしまうかもしれない。
それが怖い。
するとリヴァイはもう一度サクラに口付けた。
「なら、忘れろ」
サクラ。
お前の気持ちはよく分かる。
自分のために誰かが死んでいく。
自分の選択で誰かが死んでいく。
そんなことは、何度もあった。
“ 兵長・・・お役に立てなくてすいません・・・ ”
“ リヴァイ兵長・・・どうかご無事で・・・ ”
“ じゃあな ”
俺を恨まず、謝罪の言葉を遺して逝った。
俺の命を案じてくれた。
俺に笑顔で別れを告げた。
守ってやることができなかったのに・・・
恨んでくれたら、どれだけラクだったか。
罵ってくれたら、どれだけ救われたか。
だが、奴らはそうはしなかった。
俺が下した選択を受け入れ、そして許してくれた。
そして、俺はいつしか・・・そんな現実から逃れる術を身につけた。
「死んだ後輩のことや・・・」
サクラの頭を抱き寄せ、胸に押し当てる。
「お前が生きていることを、忘れればいい」
トクン・・・トクン・・・と、リヴァイの心臓の鼓動が頬に伝わった。
「俺に抱かれろ・・・すべて忘れさせてやる」
サクラは反応しなかった。
「八つ裂きでも、絞殺でもいい・・・俺を殺すつもりで、求めてこい」
そうすれば、お前のために死んだ兵士のことが忘れられる。
「俺も、殺すつもりでお前を抱く」
そうすれば、お前は生きていることを忘れられる。