【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
「やめてよ、何するの?!」
「あ? お前、右足をケガしてんだろ。このまま抱いて帰る」
「放っておいて。帰りたければ、貴方ひとりで帰ればいい」
こいつ・・・何か変だ。
サクラは、これまで一度としてリヴァイの手を振り払ったことはない。
口調も、物言いも、まるでいつもと違う。
「お前を連れ戻すために来たんだ。一緒に帰るぞ」
「だから、放っておいてって言ってるでしょ!」
「放っておけるわけねぇだろうが!」
リヴァイは無理やりサクラを抱き上げた。
沼の藻が辺りに飛び散る。
そして、近くの木の下に座らせると、逃げられないように太ももの上に跨った。
「いいか、他の奴だったらてめぇの望み通り、放っておいてくれるかもしれねぇ」
「・・・・・・・・・・・・」
「だが、俺は違う。てめぇの望みなんか聞いてやるつもりなどない」
サクラの肩を木の幹に強く押し付け、威圧的に睨む。
「巨人に食われてぇと聞いたら、なおさらだ。望み通りになんて絶対させねぇぞ」
「痛っ・・・」
肩を掴んでくる凄まじい握力に、骨が軋んだ。
それでもリヴァイは力を緩めようとしない。
「死にてぇのか、サクラ?」
「・・・くっ・・・」
痛みに顔を歪めながら、自分を見下す男を睨み返す。
そこにはリヴァイに対する愛情などなかった。
「質問に答えろ。何故、死にたい?」
「・・・罪もない命を奪った・・・それを償うため・・・」
「ああ・・・あの金髪の新兵のことか」
すると、ルドルフの事を思い出したのか、サクラの表情に変化が現れた。
「そう、だから放して! 私は行かなければ」
リヴァイを押しどけ、木に掴まりながら立ち上がる。
しかしその直後、再び押し付けられて、体の自由を封じられた。
「・・・行かせてもらえると思うか? この状況で」
冷たい声が、サクラを縛り付ける。