【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
「クソ・・・」
何故、最初からずっとついていてやらなかった・・・!
サクラの精神状態が不安定だったことは聞いていたのに・・・
後悔の念が押し寄せる。
しかし、今はそれに囚われている場合ではない。
巨人が活動を始める夜明けまでにサクラを見つけなければ。
今、リヴァイは立体機動装置を付けていなかった。
「・・・・・・!」
突然、水の匂いが鼻をついた。
直後に水音が微かだが聞こえてくる。
ジャブ・・・ジャブ・・・
泉か・・・沼か・・・
これは風で水面が揺れている音ではない。
誰かが中に入っていっているのか。
リヴァイはランプを高く掲げ、目を凝らした。
すると前方に小さな沼があり、そこに人影が見える。
「サクラ!!」
足を引きずり、膝まで水に付けている。
しかし、それでも前に進もうとしていた。
リヴァイはランプを地面に置くと、沼へと走った。
そしてブーツを履いたまま水の中に足を突っ込み、サクラの腕を掴む。
「てめぇ! 何してる!」
「・・・・・・・・・・・・」
サクラの腕は、死人かと思うほど冷たかった。
そして、どんなに強く引っ張っても反応が無い。
「サクラ! 聞いてるのか!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
サクラはゆっくりとリヴァイを振り返った。
そして、首を傾げる。
「・・・誰?」
ドクンッと心臓が脈打った。
月明かりが届かないせいで、こっちの顔が見えないのか?
「俺だ、分からねぇか?」
冷たい体を抱き寄せる。
髪には枯葉が絡まり、頬は泥で汚れていた。
「お前・・・どこに行こうとしてる」
指で髪を梳かし、泥を拭ってやる。
すると、されるがままになっていたサクラが口を開いた。
「・・・巨人のところへ」
「巨人? 何故だ?」
「食われるために」
そんなことも分からないの? と言いたげに、サクラは眉根を寄せた。
「馬鹿言ってんじゃねぇ。帰るぞ」
「帰る・・・? どこへ」
「野営地だ、決まってんだろ」
そんなことも分からねぇか? と言いたげに、今度はリヴァイが眉根を寄せる。
沼から出るために強引に抱き上げようとすると、サクラは身を強張らせて抵抗した。