【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
「サクラは優しい子だ。他人の罪や過ちは、すべて許すことができる。だけど・・・あの子自身に罪の意識や、後悔の念が生まれた時・・・それは計り知れないほどの大きなものとなるだろう」
ルドルフを殺した巨人に立ち向かった時。
“殺してやる”
サクラは確かにそう言った。
その時、ハンジは恐怖を覚えた。
その言葉は巨人ではなく、サクラ自身に向けられたもののように感じたから・・・
「私は言ったよね・・・サクラがもし、何かを“恨む”日がきたら・・・あの子の精神は崩壊するかもしれないって・・・」
他人に向けるべき怒りを、憎しみを、サクラはすべて自分に向ける。
「リヴァイ・・・お願い・・・サクラを助けてやって」
「・・・・・・・・・・・」
「きっとリヴァイだけだと思う。サクラの中にある狂気を沈められるのは・・・」
私はサクラを気絶させるしか手だてが見つからなかった。
でも、リヴァイなら・・・
ハンジは想いを託すように、リヴァイの肩を掴んだ。
その手にはありったけの力が込められている。
「・・・・・・ハンジ」
リヴァイの瞳が揺れた。
「お前、何を隠してる・・・?」
「え・・・?」
冷たい光を放つ三白眼。
ハンジには別の危惧があるのではないか、と見透かす。
すると、分隊長は力無く微笑んだ。
「・・・まったく、リヴァイには敵わないなぁ・・・」
「てめぇはエルヴィンと違って、裏が無ぇからな」
「そう? これでも、けっこう本心は隠してる方なんだけど」
「・・・俺にはその必要がねぇだろ、クソメガネ」
ハンジはしばらくリヴァイを見ていた。
まだ確信が持てないことを、この男に伝えるべきか否か。
「話せ、ハンジ」
念を押すようにリヴァイが言い放った。
「分かった・・・ただの気にしすぎなんだろうけどね・・・」
まだ迷っているのか、とても言いにくそうにしながらも口を開く。