【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
リヴァイがサクラと合流したのは、すでに重症を負った後だった。
ハンジの腕の中で意識がなく、顔色は真っ青だった。
なんて事だ・・・
絶対に死なせねぇぞ。
リヴァイは並走してハンジとサクラを守りながら、野営地である古城へと向かった。
医師の診断では、脳震とうと、肋骨にヒビ。
そして、右足にアンカーが刺さったことで、アキレス腱が切れていた。
しかし、命に別状はないとのこと。
とりあえず応急処置は医師に任せ、リヴァイはその場を離れた。
明日も長距離を移動しなければならない。
サクラはそれに耐えることができるだろうか。
気持ちが落ち着かないまま、古びた石壁で覆われた一室で、ハンジとリヴァイは机を間にして向き合っていた。
すると、沈黙に耐えられなくなったのか、ハンジが遠慮がちに声を発した。
「ごめんよ、リヴァイ」
「あ? どうした、いきなり」
ペトラが持ってきた紅茶には少しも口をつけず、黙って机の木目を見つめていたリヴァイが顔を上げる。
「だって・・・サクラにあんなケガを負わせてしまって・・・右足にアンカーを撃ち込むしか、彼女を止める手だてはなかった」
「・・・・・・・・・」
「それに顔も叩いちゃったしさ・・・リヴァイの大事な人なのに・・・」
サクラが正気を失ったことは聞いている。
サクラの身代わりに新兵が一人死んだことも。
「何言ってやがる、クソメガネ・・・」
熱の無い三白眼が、ハンジを捉えた。
「俺だったら・・・顔の形が変わるまで殴り・・・両手足を切り落としてでも止めていた」
「リヴァイ・・・」
「あいつが死ぬことに比べりゃ・・・そっちの方がマシだからな」
ハンジが一緒で良かった・・・