【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
処刑・・・?
お兄ちゃん、殺されるの?
お兄ちゃんは一切の抵抗を見せることなく、静かに憲兵を睨んでいた。
「最期に言い遺すことはあるか?」
どうして・・・?
私たちは王の生誕を祝うためにここにきたのに・・・
どうして、異端者として殺されなければならないの?
「言い遺すことがあるとすれば、それは一つ・・・」
お兄ちゃんは痛みに体を震わせながら、私を見た。
覚悟を決めたのか、表情は穏やかだった。
「サクラ、お嫁さんにしてあげられなくてごめんな」
それが、お兄ちゃんの最期の言葉だった。
次の瞬間、小銃がお兄ちゃんの頭を吹き飛ばした。
「アァ!! お兄ちゃんッ!!」
真っ赤な血が飛び散る。
子どもには耐え難い光景に、私は気を失いそうになった。
「おっと、お前にも用がある」
ペンダントを引っ張られ、鎖が首の肉にめり込む。
「この文字を読めるか?」
「・・・・・・いいえ」
憲兵は蛇のような目で私を睨むと、今度は両方の手首を掴んだ。
「お前には“印”が無いようだが・・・お前の両親とブルームの関係は・・・?」
「あ・・・あぁ・・・」
怖い・・・
お兄ちゃん・・・
「いや、いい・・・面倒だ、こいつも殺しておくか」
乱暴にペンダントを剥ぎ取られると、お兄ちゃんを殺した小銃が向けられる。
「怖いのか? お前がこのペンダントをつけてなければあの男は死なずにすんだんだぞ」
「・・・私・・・のせい・・・」
「ああ、お前のせいだ」
醜悪な笑みを浮かべる憲兵に、一緒にいた部下は“性格が悪いですよ”と楽しそうに言った。