• テキストサイズ

【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第13章 Forget Me Not ※




都は見たこともない数の人で溢れかえっていた。


「サクラ、僕の手をしっかりと握ってるんだよ」

人の波に流されそうになっている私に、お兄ちゃんは言った。
王の生誕を祝うためとはいえ、こんなに人が集まっているとは思わなかった。

頭につけていたリボンはいつの間にか無くなっていたし、スカートもグチャグチャだ。
それでも盛大な音楽、甘いお菓子、見たこともないオモチャを売っている露店など、面白いものがたくさんあった。


「楽しいかい、サクラ?」

「うん!」


王のことは顔も知らないが、こんな催しをしてくれるのだからきっと良い人だろう。
この氷を細かく砕いて甘い蜜をかけたお菓子も美味しい。
氷なんて高価なもの、シガンシナではなかなか手に入れることができない。
王都だからこそ食べられるお菓子だ。

低い塀の上に座りながら、お兄ちゃんが露店で弟への土産を買うのを待っていた時だった。


ドンッ!

後ろから誰かに押されて、地面に落ちた。
大した高さではないので膝を擦りむいた程度だったが、驚きと痛みで泣きそうになった。


「あ・・・」

そのままでは誰かに踏まれそうだったので立ち上がった瞬間、食べていた氷菓子が洋服にベットリとついていることに気がつく。

「ふ・・・」

とても大事にしていたブラウスだったのに・・・

「お兄ちゃん・・・痛い・・・」

拭いたら汚れは落ちるのかな・・・
胸元のボタンを外し、ハンカチで氷菓子の汚れを拭いている時だった。

/ 781ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp