【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
頭を鈍器で殴られたような衝撃が走る。
生暖かい風が吹き、吐き気がした。
「・・・・・・ああ・・・!!」
なにが・・・起きた・・・?
なぜ・・・ルドルフは死んだ・・・?
どうして・・・彼は私の身代わりになった・・・?
「サクラ! 気をしっかり持って!」
ハンジが叫びながら体を揺らしたが、サクラはそれに反応しなかった。
私のせいで、一つの命が失われた。
人類のために捧げたはずの尊い心臓が、私のせいで鼓動を止めた。
私は・・・私は・・・
自分が許せない。
ドクンッと心臓が大きく波打った。
ハンジの腕の中で、全身の筋肉が隆起する。
痛みはもう感じていなかった。
激しい怒りが、真っ暗な闇となってサクラを包み込む。
「殺してやる」
激しい憎しみが、狂気の渦となってサクラを飲み込む。
「サクラ・・・貴方・・・」
ハンジが恐怖を覚えて後ずさりした瞬間、サクラはルドルフを喰った巨人に立体機動のアンカーを刺した。
しかし、傷ついた肉体は精神に追いつくことができず、バランスを崩して再び地面に振り落とされる。
「やめなさい、サクラ! 死ぬつもり?!」
死・・・?
そうだ。
罪もない尊い命を死に追いやった者は、同じ死で償わなければならない。
「当然の報い」
憎しみに満ちた冷酷な瞳で巨人を見据え、剣を向ける。
足取りがおぼつかない。
それでもサクラを喰おうと口を開けている巨人を殺すため、立体機動で飛び上がった時だった。
サクラの右足に何かが刺さる。
それが立体機動のアンカーだと気づくのに、数秒。
そのままワイヤーが巻き取られて地面に引き戻されると、左頬に鈍い衝撃が走った。
「正気を取り戻しなさい、サクラ!」
ハンジの怒声が響く。
口の中にどんどんと広がる、鉄の味。
ああ・・・
私は・・・・・・
最後に何を思うつもりだったのだろう、サクラの意識はそこで途切れた。