【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
「クソッ! 離せ!!」
自分の身代わりとなって、ルドルフが巨人に掴まれている。
「ルドルフ!!」
サクラの声に、巨人の手の中からルドルフがこちらを見た。
生きているということに安堵したのか、それとも力尽きたのか、ふと表情を緩める。
「良かった、サクラさん・・・」
「良くない! 待ってて、今行くからっ・・・ッ!」
しかし、激痛で立ち上がることすらできなかった。
「ダメだ、サクラ! ここから離れるんだ!」
ハンジが叫んだが、サクラは首を強く横に降った。
「でも、ルドルフが!! このままでは・・・」
このままでは自分の身代わりに殺されてしまう!
そう思った瞬間。
バキッという音が辺りに響いた。
「ぎゃああああ!!」
ルドルフの下半身が噛みちぎられていく。
「ルドルフ!!」
人間の血液が飛び散った。
ハンジが悔しそうに顔を歪める。
サクラの目の前で、ルドルフの体が二つに裂けた。
「・・・サクラ・・・さん・・・」
それでもまだ息があるのか、巨人の口からはみ出たルドルフは最後の力を振り絞って微笑んだ。
「俺を忘れないでください・・・」
それが・・・
切ない想いを抱く、若い兵士の最期の言葉だった。
そして僅かに残った上半身も、巨人の胃袋へと落ちていく。
地面に咲いている勿忘草が、ルドルフの血の色に染まっていた。