【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
「シェリー!」
馬を呼んで飛び乗る。
すでに最初に削いだ10メートル級の傷が回復していた。
とりあえず、このままハンジと合流しよう。
自分達だけではこの3体を対処しきれないが、ハンジがいれば余裕で片付けられる。
「す、すみません、サクラさん」
班に戻る途中、ルドルフが心底申し訳なさそうに謝ってきた。
「俺が足を引っ張らなければ・・・」
「何言ってるの! 私だって無理だと判断したから逃げているんだよ」
ペトラやオルオなら容易く仕留めただろう。
リヴァイだったら・・・
生け捕りを考える前に、一瞬で3体とも殺してしまう。
私は未熟だ・・・
悔しさで唇を噛みながら、前方にいるハンジの元へと急いだ。
とりあえずルドルフを班と合流させた後、自分はもう一度巨人の所へ戻って囮となろう。
「サクラ! 後ろ、気をつけて!」
ほんの 数十メートル先からハンジが叫んだ。
気づけば、巨人達は自分達のすぐそばまで迫っていた。
「ルドルフ、少し急ごう!」
「はい!」
その時。
リン・・・と、鈴のような音が鼓膜を揺らした。
見ると、そこには青い小さな花。
「・・・勿忘草・・・?」
この状況とはあまりにも不釣り合いで美しい色に見惚れた瞬間、強い衝撃がサクラの体を宙に吹き飛ばした。
「サクラさん!」
太陽が近くに見え、そして地面が逆さまに映る。
ボヤけた視界の隅に、巨人の醜い顔が見えた。