【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
途端にたちこめる、血の匂い。
人間を殺してきたのは明らかだった。
3体同時に捕獲はやはり無理だ。
目標は・・・12メートル級!
「ルドルフ! まずは右側の10メートル級を倒すよ!」
「えっ・・・は、はい!」
ルドルフの返事を待たずに、サクラはシェリーの背中の上から立体機動を使って巨人の肩に飛び移った。
「サクラさん!」
うなじは狙えずとも、耳の下から喉元にかけて深く削ぐ。
当然殺すまでには至らないが、なんとか足を止めることはできた。
「足首の腱を切って!」
しかし、ルドルフはもう1体の10メートル級と、12メートル級を前にして体が硬直していた。
「ルドルフ!」
駄目だ、殺される!
サクラは首筋を切りつけた巨人にトドメを刺すことを諦め、まずは12メートル級に立体機動のアンカーを差し込んだ。
そして、動きを止めるために両眼を潰す。
熱湯のような血飛沫が飛んできた。
「くっ!」
怯んでいる暇はない。
急いで地面に飛び降り、ルドルフへ手を延ばしていた3体目のアキレス腱を切断する。
巨人は悶えながら尻餅をついた。
「あ・・・サクラさん・・・」
「ルドルフ、動ける?」
「は・・・はい」
「なら、走って!」
まだ3体とも足止めしているだけだ。
傷はすぐに回復する。
やはりルドルフに巨人を追い込む役目は重すぎた。
とにかく本隊に戻らせよう。
サクラは黄色の信煙弾を放ち、ハンジに作戦を一旦中止すると合図を送った。