【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
「リヴァイ、お前はハンジをどう思う?」
「どうって・・・どういう意味だ、そりゃ」
質問の意図が分からず首を傾げたリヴァイに、エルヴィンは真剣な瞳を向けた。
「俺は、ハンジ・ゾエという人間を買っている。思考、分析、先見、判断、どれを取っても俺に一番近い。いや、俺を凌駕するだろう」
「・・・・・・・・・・・」
「だが、あいつにも足りないところがある。それは、“決断”だ」
思慮深く、
物事の本質を見破り、
先を見通す力に長け、
それにより何をすべきか分かっている。
しかし、そのすべき事を、実際に行動に移すことができない。
決断力さえ培うことができたなら、間違いなくハンジは歴代最高の調査兵団団長となるだろう。
「買いかぶりすぎだな。ありゃ、ただの変態クソメガネだ」
リヴァイは吐き捨てるように言った。
エルヴィンを凌駕する才能がハンジにあるとは思えない。
すると、団長は青い目を細めながらリヴァイを振り返った。
「なら、なぜお前はブルームをハンジに任せておけるんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「お前は最も失いたくない命を、ハンジに預けている。俺も同じだ」
最も大切なこの調査兵団組織を、ハンジ・ゾエに任せる覚悟はある。
それは今すぐのことではないにしても、エルヴィンは団長に就いたその日から後継者を育ててきた。
いつ 自分が死んでも良いように。
「だから、後ろで好き勝手にやらせるのか」
「本隊にまで影響は出すなと、釘を刺してある」
自分で判断し、決断する。
ハンジには良い訓練になるだろう。
本人は団長の監視から解放されたと喜んでいたが。
エルヴィンの脳裏に、“ひゃっほう!”と歓喜していたハンジの姿が蘇った。