【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第3章 Seize the Light
ドォン!
これまでにない、唸るような地響きが鳴った。
同時に、黒い信煙弾が昇る。
「奇行・・・種・・・・・・!!」
目視でははっきりと確認できないが、9時の方角から異様な空気を感じる。
なんだ、この嫌な感じは。
数秒後、その正体が姿を現した。
それは15メートル級の巨人で、頭には毛髪がまったくなく、異常に大きい目と鼻、そして唇が捻じ曲がっている。
何よりも、走るスピードがケタ違いだ。
「こっちへ来るぞ!!」
ハインツが叫んだ。
しかし、状況はさらに悪い方へ進んでいた。
右翼側から3体の巨人がこちらにやってくる。
気がつけば援護班は巨人の対処に追われ、陣形が崩されていた。
右から3体
左から奇行種1体
そして、数メートルしか離れていない所に捕獲ターゲット
どうする?
何をすべきなの?
決断しなければ!
「私が戦います!」
サクラが剣に手をかけた瞬間、ハインツが怒鳴った。
「駄目だ!お前は捕獲地点を目指せ!俺が左を片付ける!」
「でも!」
「いっぺんに3体相手は厳しいが、奇行種1体ならなんとかなるかもしれん」
「援護を呼びます!」
ハインツは、サクラの方を向かずに首を横に振った。
見ると、左翼側からさらに数体の巨人がこちらに走ってくる。
この奇行種が引き連れてきているというのか?
駄目だ。
ハインツがこいつを相手にしても、その後ろにいる数体と右からくる3体は倒せない。
作戦遂行不能の信号を送るか?
しかし、この状況で援護は望めないだろう。
むしろこのまま森を目指して、エルヴィン達の精鋭と合流した方がいいのかもしれない。そこまで辿りつくことができれば、の話だが。