【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第13章 Forget Me Not ※
「・・・ん・・・」
軽い頭痛で眠りから覚める。
窓から差し込む朝日が眩しくて目をこすると、涙で濡れていた。
これはあの夢のせい・・・か?
しばらく忘れていたのに、どうして今ごろ思い出したのだろう。
「サクラ・・・? 起きたのか・・・」
「すみません、起こしてしまいましたか?」
「・・・いや・・・」
向かい合わせで寝ていたリヴァイが微睡みながら、サクラの頬を撫でた。
しかしそこに涙の跡があることに気づき、一瞬にして鋭い瞳を向けてくる。
「何故泣いてる?」
「悲しい夢を見たせいかもしれません・・・内容は覚えていませんけど」
「・・・・・・・・・・・・」
内容を覚えていないと言ったのは、嘘。
あれは夢でなく、記憶だ。
忘れるわけがない。
リヴァイはジッとサクラを見つめていたが、それ以上は追求せずに目を逸らした。
「・・・今日は壁外調査だ。色々と思うところがあるんだろう」
語りたくないのなら、語らなくていい。
ゆっくりと起き上がると、サクラの額にキスを落とした。
くすぐったくて思わず笑みが零れる。
すると、リヴァイは少しだけホッとしたような目をした。
「リヴァイ兵長の配置はどこですか?」
「俺はエルヴィンの護衛で次列中央につく。お前はハンジと一緒に後列中央だったか?」
「はい。第二分隊は巨人の捕獲を目的としていますので」
「そうか・・・」
裸のサクラに毛布をかけながら、心臓の上にそっと触れる。
「死ぬんじゃねぇぞ」
“はい”と答えられたらどれだけいいか。
果たせるかどうかわからない約束を、結ぶことはできない。
ここまでの壁外調査で命を落とさなかったのは、奇跡なのだから。