【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第12章 Ignite Me
「あれ、ハンジの所のサクラちゃん・・・だよね?」
「はい、お疲れ様です! ゲルガーさん」
胸に拳を当てて敬礼すると、リヴァイが苛立った様子でサクラとゲルガーの間に立ちはだかった。
「どうしたよ、リヴァイ?」
「どうもしない。急いでる、そこをどけ」
「はぁ? こんな時間に他所の班の部下連れてどこへ行く気だよ?」
「お前には関係ない」
これにはさすがのゲルガーもカチンときたのか、あからさまにリヴァイを無視してサクラに話しかけてきた。
「サクラちゃん、今度飲みに行こうよ。良い店を知ってんだ」
「え? その・・・」
ゲルガーは先輩だから断るわけにはいかない。
でもリヴァイの目の前だ、何と返事をして良いのか分からず、言葉に詰まった。
「てめぇこそ、他所の班の部下を飲みに誘ってんじゃねぇ」
低い声で唸り、リーゼントヘアーがトレードマークの男を睨みつける。
そんなリヴァイを見て、ゲルガーはにやりと笑った。
「はーん、なるほどね。女に興味があるようには見えなかったから、俺はてっきりソッチの気があるのかと思ってたぜ」
「その突き出したウザってぇ前髪、削ぎ落としてやろうか」
すごい・・・
この人、リヴァイ兵長を相手に、平然と火に油を注いでいる。
さすがは、歴戦の兵士。
「バカは放っておいて行くぞ、サクラ」
「は、はい。失礼します、ゲルガーさん」
頭を下げてゲルガーの横を通り過ぎる瞬間、そっと耳打ちされた。
「リヴァイをよろしくな」
「・・・ゲルガーさん?」
恐らく、その言葉はリヴァイには聞こえなかったのだろう。
何も反応が無かったし、歩く速度が遅くなったサクラに苛立った目を向けてくる。
ゲルガーはといえば、相変わらずニヤニヤした顔でリヴァイとサクラに手を振っていた。