【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第3章 Seize the Light
第35回壁外調査、巨人捕獲作戦。
総勢120名の調査兵は、ウォール・ローゼ南のトロスト区から補給ルートを辿り、森へと目指す。
壁のすぐ向こうはウォール・マリアの旧市街地となっているが、そこで捕獲を行なわないのは建物が入り組んでいて多数の巨人と遭遇した場合、捕獲ターゲットだけを誘き寄せることが困難だというのが理由らしい。
また、馬を使えないのも不利だという。
開門前に先遣隊が補給ルートまでの巨人をあらかた倒してくれたので、壁外に出てすぐ危険に晒されることはなかった。
予定では、このまま旧市街を抜け、平野部でターゲットの巨人を選定。
その間にハンジら捕獲班は森に先回りし、捕獲兵器を準備しておく。
援護班無しでそこまで辿り着かなければならないが、ハンジは相当の手練れだというし、エルヴィンもいるから心配はないだろう。
そして、初列索敵班が巨人を見つけ次第、陣形の中央に位置取っているサクラ達の後ろにスペースを作り、そこにターゲットの巨人を誘き寄せる。
そこからが本番だ。
前列が大きく左右に分かれてサクラ達を最前列に押し出すと、そのまま他の巨人の駆除を担う援護班となる。
“誘導係に死なれちゃったら巨人捕獲作戦が続行不能になるからね”
ハンジの言葉が脳裏に浮かんだ。
もうすぐ市街地を抜ける。
今のところ、巨人の出現を知らせる赤の信煙弾が上がってこない。
街を外れると、ツンと生臭い匂いが鼻をついた。
ほんの3年前まではここで人が生活していた。
それが、今は巨人の庭になっている。
臭い・・・吐き気がこみ上げてくるようだ。
不気味なほど静まり返った世界に、馬の蹄の音だけが響く。
辺りは荒れ果てた広野だ。
巨人は・・・まだか。
そう思った瞬間だった。