【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第11章 Hiss And Kiss ※
「サクラ」
耳元で名前を囁かれただけなのに。
背筋に甘い刺激が走って、体の奥が熱くなる。
苦しささえ感じるほど、心臓が高鳴っていた。
「兵長・・・」
リヴァイの肌は、兵士とは思えないほど白い。
窓から差し込む月明かりを、銀色に反射する。
ああ・・・その目。
やはり、似ている。
凍てつく氷と、燃え盛る炎の両方が存在する瞳。
残酷で、それでいて優しい。
貴方はあの雪山で出会った銀狼に似ている。
生きていくためには人間をも喰い殺す残酷さを持っていながら、
捕食対象であるはずの人間の命を救うため、温もりを分け与える優しさも持っている。
なぜ、あの美しく気高い生き物がロゼと自分を救ってくれたのかは分からない。
獲物の少ない雪山だ、腹の中に入れた方がずっと良かっただろう。
“ 私があなたのためにしてあげられることといったら、新鮮な肉を食べさせてあげることくらい ”
命を助けてくれた礼に、腕一本くらいなら喰われても良いと思った。
しかし、銀狼は牙を見せることなく、吹雪の中に消えて行った。
どうして今、その光景を思い出す・・・?
サクラは同じように左腕をリヴァイの顔の前に出した。
「・・・・・・・・・・・・」
その意図を推し量ろうとしているのか、三白眼がそれを見つめる。
そしてそっとその手を取ると、肘にキスをした。
舌先をそこから手首まで這わせると、手の平を舐める。
「ッ・・・」
そこに性感帯などないはずなのに、体が震えた。
チュプ・・・と音をたてながら指と指の間を舌で刺激され、思わず吐息が漏れる。
すると、不意にリヴァイの動きが止まった。