【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第10章 Come To Me, My Love
「では、この度のリヴァイ兵士長の独断による遠征は不問とする」
長々と2時間もかけた審議の割に最後は呆気なく終わり、リヴァイは思いっきり不満そうな顔を見せた。
「だったら最初から呼びつけるんじゃねぇよ、豚共が」
「何か言ったかね?」
審議官が忌々しそうにリヴァイを睨みつける。
「申し訳ありません、審議官! リヴァイは寛大な判決に感謝しているのです」
ハンジがリヴァイの頭を掴んで、無理やりお辞儀をさせながら言った。
「それにしてもこの男の態度には問題があるぞ」
「はい、それも調査兵団に戻ったらよォく言って聞かせますから」
「ハンジ、てめぇ・・・離せ、コラ」
「いいのか? このまま話を拗らせたら、今日のうちに帰れなくなるぞ」
「・・・・・・・・・・・」
そうなると、サクラはどうするの?
きっとあの子のことだ、あんたの部屋で律儀に待っているよ。
ハンジの言葉に、リヴァイの顔から険しさが消える。
今は10時。
これから急いで帰っても、深夜すぎになるだろう。
少しでも早く帰りたい。
リヴァイはそれ以上中央憲兵達に噛み付くことをせず、ハンジとエルヴィンとともに審議所を後にした。
「とにかく不問になって良かったな、リヴァイ」
中央兵団の兵舎とは明らかに造りが違う、豪華な廊下を歩きながらエルヴィンがにこやかに言った。
「お前の口のうまさには呆れたぜ。兵士の犠牲を減らすため、最少人数で限界まで進むルートを模索していた、だと?」
「うまい言い訳だろう? だが嘘でもない。最少人数で遠征ができるようになったら、可能性はおおいに広がる」
「ま、物は言いようだな」
何にせよ、厄介なことにならなかったのだから、エルヴィンにはそれなりに感謝している。
弁が立つ団長と、場の雰囲気を和ませる分隊長が一緒で助かった。
ありがとな。
リヴァイは口にこそしないものの、心の中でエルヴィンとハンジに礼を言った。