【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第10章 Come To Me, My Love
花は、“ここで咲いていたい”と思った時、どんなに厳しい場所でも育つ。
リヴァイ兵長、貴方も植物から愛される人なのかもしれませんね。
一緒にいると安心する理由が少しわかりました。
私の母がそういう人でしたから・・・
“サクラ、花を上手に育てる秘訣はね、その花に愛されること。簡単でしょ”
四季折々の花にいつも囲まれていた母。
色とりどりの花びらの中で、いつも微笑んでいた。
自分も母のような、優しい女性になりたいと願っていたっけ。
だけど、今はそんな母とは似ても似つかない、巨人を殺すための訓練を積む日々。
虫も殺さなかった母と違い、何度も巨人の血肉でこの手を赤く染めている。
それでも幸せなのは、リヴァイがいてくれるから。
サクラは枕をそっと撫でた。
フワリと愛しい香りが鼻をくすぐる。
人間もきっと花と一緒。
この人のために咲いていたい、と思える人がいると、自分の涙を糧にしてでも咲き誇ろうとする。
「早く会いたい・・・」
サクラはテーブルのイスに座ると、頬杖をつきながらゼラニウムを見つめた。
“貴方がいて幸せ”
そんな言葉を持つ花。
それはゆっくりと、サクラを優しい夢の中へといざなった。