【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第3章 Seize the Light
「サクラ、調査兵団に入ったんだろ?」
エレンが瞳を輝かせながら聞いてきた。
そんな様子を見て、ミカサの顔が曇る。
「そう。明日、壁外調査に行く」
「え・・・」
3人は絶句した。
「だから、大好きな貴方達の顔を見に来た」
そう言うと、エレンはきゅっと唇を噛み、サクラの手を握ってきた。
「なんだよ、それ。これが最後みたいな言い方すんなよ」
エレンの手、最後に繋いだときよりも大きくなっている。
「最後だとは思っていないよ。どちらかというと、気合を入れにきた」
貴方達はとても不思議な子。
エレンの勇気、ミカサの強さ、アルミンの思考力、
ほんの少し触れるだけで、心の底から温かいものと一緒に力が湧いてくる。
ポケットの中からビスケットを取り出し、3人に手渡した。
それは3年前に船の上であげたものと同じ。
「私は明日、希望を探しに行ってくる。いつか貴方達へとつなぐために」
エレンは不思議そうにしたが、アルミンとミカサはその言葉の意図に気がついたのか、深く頷いた。
「サクラ」
ふいにアルミンが、子供のようにサクラに抱きついてきた。
サラサラとした金髪が、鼻先をくすぐる。
「絶対、僕らにつないでね。サクラの手で、直接だよ」
すると、ミカサも左から抱きついてきた。
「いってらっしゃい」
まるで、“だから必ず帰ってきて”と言いたげに。
そして最後に右からエレンが抱きついてきた。
「俺達はまだ何もできないけど、サクラのこと信じてるからな」
サクラは、エレン達の頭を順番に撫でる。
血は繋がっていないけれど、大事な3人。
この子達のためにも、今回の作戦は絶対に成功させなければ。
「必ず戻ってくる。信じていてね」
ありがとう。
私にお別れの言葉を言わないでいてくれて。
「いってきます」
私、調査兵団第二分隊一班サクラ・ブルームはここに誓う。
必ず作戦を成功させ、貴方達に新たな希望をつなごう。
サクラの訓練兵へ向けた真摯な敬礼に、エレン達も同じように応えた。