【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第10章 Come To Me, My Love
「俺に遠慮するな、サクラ。俺もお前のことに関して、遠慮する気は一切ない」
なんだろう。
すごく胸が痛い。
「・・・はい・・・」
離れている時はあんなに寂しくて、切なくて、不安だったのに、こうして腕の中にいると全部忘れてしまう。
でも同時に・・・
また離れる時間が来ると思うと、やっぱり寂しくて、切なくて、不安になる。
「リヴァイ兵長」
壁が邪魔をして背中に手を回せないので、その代わりに胸元の服をギュッと掴んだ。
もっと側にいたい。
「サクラ・・・」
幼子をあやすようにサクラの頭を撫で、頬、耳たぶ、瞼、あらゆるところへ啄ばむように口付ける。
そして長い髪を梳いていた手が、はたと止まった。
「・・・・・・オイ・・・」
「はい?」
「お前、こんな面白ぇ形の頭をしてたか・・・?」
後頭部の形を確かめるように指の腹で撫でている。
そこは、昼間にガスボンベが当たって、いくつものタンコブができていた。
「あの・・・実は・・・立体機動の訓練の前、棚に保管していたガスボンベが頭の上に落ちてきて・・・」
「なぜ、そんな情けねぇことになった?」
「それは・・・」
兵長のことを考えていたから・・・
恥ずかしくて俯きながら答えると、リヴァイの瞳が大きく開いた。
かと思うと、サクラの右肩に顔を埋める。
「・・・馬鹿野郎・・・・・・」
「え?」
「お前は俺を試しているのか・・・?」
あまりにも強く抱きしめられ、思わず咳が出た。
それでもリヴァイの腕から力が抜ける気配がない。
「今だってギリギリのところで我慢してる」
お前を抱きたくて仕方が無い。
“一度手に入れてしまうと、離れているのがつらいだろう”
よく分かっているじゃねぇか、エルヴィン。
リヴァイの熱を帯びた指が背中から腰へと下り、丸く膨らんだ臀部にあてがわれると、体がビクンと震えた。
たまんねぇ・・・
小さくそう呟くと、耳まで赤くしている顔を両手で挟んで上を向かせる。
「サクラ・・・今晩、俺の」
俺の部屋に来い。
そう言いたかったのだが、その言葉の最後は能天気な明るい声にかき消された。