【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第10章 Come To Me, My Love
「やっとお会いできたのに、どこにも行きませんよ」
「だが、今朝から俺に背を向けるお前の姿ばかりを見ていたような気がしたんでな」
「??」
朝、エルヴィンの部屋で打ち合わせをしていると、開いたままのドアの向こうにサクラが通り過ぎるのが見えた。
声をかけようとした時はすでに遅く、ハンジの部屋がある地下へ降りていってしまっていた。
昼すぎ、一般兵士が立体機動訓練をしているというから行ってみると、もう少しで会話できそうだというところでハンジについて行ってしまった。
そして今さっき、ハンジの部屋に行ったら、向こうからやってくるリヴァイに気がつかないまま、給湯室がある反対の方へ走っていった。
眉間にシワを寄せながら話すリヴァイに、思わず吹き出してしまった。
「なんだ、一緒だったんですね」
「一緒?」
「私も、今日はずっと兵長とすれ違いばかりだと思っていました」
団長の部屋で見かけた時も、
立体機動訓練の時も、
自分に気がついてくれていたのか。
「さっきも兵長にお茶を差し入れようとして走っていたのに・・・なんかほんとにタイミング悪いですね」
「茶・・・? それはどうした」
「あ、もう召し上がったと聞いたので」
「・・・・・・・・・」
リヴァイは首を傾げ、不満そうな目でサクラを見た。
「持ってくれば良かったじゃねぇか」
「でも、そんなに飲んだら」
「腹を壊すとでも?」
サクラの顎をつかんで上を向かせると、唇にキスをする。
少し拗ねているのか、少し強引に歯の隙間から舌を差し込んできた。
「んっ・・・」
「喉がかわいたぞ。お前の唾液を飲ませろ」
「・・・!」
それは無理! と慌てて顔を離すと、リヴァイはまったく表情を変えずにサクラの鼻頭を指で弾いた。
「冗談だ、バカ」
じ、冗談・・・?!
それなら、真顔で言うのをやめて欲しい。
「だが、今度はちゃんと持ってこい。その前に樽一杯の紅茶を飲んでいようが・・・」
お前が淹れてくれたものなら、一滴残らず飲んでやる。
そう言って、今度は優しくキスした。