【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第10章 Come To Me, My Love
ハンジの言う頼みたいこととは、リヴァイと行った壁外遠征のルートを教えることだった。
それならばリヴァイの方が詳しいと言っても、サクラの確認が必要だからと押し切られる。
「えーっと・・・そこから東へ馬で10分ほどだったと思います」
「なるほどね・・・で、巨人との遭遇は?」
「最初に2体・・・4メートル級と6メートル級でした。それから、少し行ったところの牧場地で3体・・・」
「ふんふん・・・くぅ~、羨ましい! 私がそこにいれば、絶対に捕獲して、それから、それから・・・!」
「・・・分隊長?」
「あ、ごめん、取り乱しかけた」
まるで取り調べを受けているような気分で落ち着かない。
それはハンジの方も同じらしく、一つの質問をするたびに申し訳なさそうな顔を見せた。
「うん・・・こんなもんか。ありがとう、サクラ」
「すいません、中途半端だったかもしれません」
「いやいや、これでじゅうぶん」
ハンジはサクラから聞き出したことを書類にまとめ、にっこりと笑った。
「あの、分隊長・・・それって・・・」
「うん?」
その書類はいったいなんですか? と聞こうとした時だった。
「お疲れ様です」
ハンジの部屋がノックされ、モブリットがお茶を持って中に入ってきた。
「お茶を淹れましたがいかがですか?」
「おお! 気が利くな、モブリット」
ちょうど喉が渇いたところだったよ、とモブリットに笑顔を見せるハンジ。
そんな二人を見て、サクラは無意識のうちにリヴァイを思った。
そうか・・・
忙しくしていても、お茶を差し入れることくらいなら迷惑にはならないだろう。
もしかしたら、喜んでくれるかもしれない。
しかもこれなら、上官の部屋に行っても咎められることはない。
「サクラもどうだ? 茶菓子もあるぞ」
モブリットが勧めてくれたが、サクラは首を横に振った。
「ありがとうございます。でも、私はこれで」
リヴァイにお茶を淹れてあげたい。
その一心で、ハンジの部屋から給湯室へと走った。
考えてみれば、リヴァイはよく紅茶を飲んでいるではないか。
どうしてこんな簡単なことに気がつかなかったのだろう。