【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第10章 Come To Me, My Love
「・・・?」
その顔はずっと自分が見たかったものだ。
なのに、どこのどいつに見せていやがる・・・
リヴァイは苛立ちながらサクラが向いている方へと目を向けた。
するとそこにいたのは、よく知った人物。
「サクラ~!」
「ハンジ分隊長!!」
プチンとリヴァイのこめかみの血管が、音をたてて切れた。
「探しちゃったよ! 今日は立体機動の訓練があるって知らなくってさ。頼みたいことがあるんだけどいいかな?」
「はい!」
リヴァイも自分と会うためにわざわざ訓練場まで来ているということに気がつかず、サクラはハンジと一緒に出て行ってしまった。
「あのクソメガネ・・・」
「へ、へいちょう?」
すぐ隣にいたオルオが、リヴァイのただならない殺気を感じ取って青ざめる。
あの野郎・・・
変なタイミングで出てきやがって・・・
「・・・!!」
リヴァイの邪魔をしてしまったことに気がついていないハンジの背筋に、冷たいものが走った。
「分隊長? どうかされましたか?」
「いや、なんだろう? なんかすごい怨念を感じたよ・・・」
「ははは、まさか」
笑顔を見せるサクラだったが、いつもと少し違うことにハンジは気がついていた。
「なんか元気がないね、サクラ」
「え?! そ、そんなことないですよ」
「リヴァイと会えなくて寂しい?」
その言葉にサクラはドキッとした。
自分はそんなに分かりやすいのだろうか・・・
「隠さなくてもいいよ。顔に書いてあるし」
「!?」
慌てて顔を隠そうとしたサクラをみて、クスクスと笑う。
「冗談だよ、かわいいなあ。今、リヴァイはすごく忙しいからね。でも、もう少ししたら落ち着くから」
「・・・・・・・・・・・・・・」
落ち着く、と言ってもすぐに次の壁外調査があるだろう。
それが終われば、そのまた次の壁外調査。
仕方がない。
それが調査兵なんだから。
「私はだいじょうぶです」
だって、調査兵である限りは、階級で隔たれていてもこうして同じ兵舎で生活できる。
そして、一緒に命をかけることができる。
「そう・・・」
微笑むサクラを見て、寂しそうな表情を見せたのはハンジの方だった。