【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第10章 Come To Me, My Love
兵長・・・!
数日ぶりに挨拶だけでもできるかもしれないと、サクラも立ち上がって駆け寄ろうとした。
その姿が兵士の合間から見えたのだろう。
うざったそうに眉間にシワを寄せていたリヴァイの表情が、ふと柔らかくなる。
「悪ぃが、道を開けてくれ」
そう言って、前を塞ぐ兵士を除けようとした時だった。
「そうだ、お前ら道を開けろ!」
どこからともなく現れたオルオが、リヴァイとサクラの間に立ちはだかった。
「お前ら、リヴァイ兵長の周りに寄ってたかって・・・邪魔なんだよ」
リヴァイはサクラの方へ行きたいのに、完全にその道を塞いでいる。
「・・・邪魔なのはお前だが?」
リヴァイがジトッと睨んでいることにも気がつかず、オルオは立体機動機動装置を操作するトリガーを突き出した。
「リヴァイ兵長! 俺、兵長みたいに回転しながら切りつけられるようになったんです! 見てもらえませんか?!」
オルオが言っているのは、片方のトリガーを逆手に持って回転しながら斬撃を与えるという、リヴァイの得意技だ。
「俺、兵長に認めてもらいたくて必死に練習したんですよ!」
「ほう・・・」
熱心な瞳でそんな風に言われたら、見てやらないわけにはいかなくなる。
リヴァイは“なら、やってみろ”と、10メートル先にある巨人の人形を指差した。
「見ててくださいよ、兵長! 一瞬でうなじを切り落としますから!」
「おう」
オルオは気合い十分といった様子で、ワイヤーを発射させ勢いよく飛び出す。
ヒュンッとガスが噴射される音がしたかと思うと、オルオは回転をかけ始めた。
右手の剣を逆手で持っているのは、まさしくリヴァイのようだ。
おお!と、感嘆の声が兵士達から湧き上がる。
リヴァイも「ほう」と顔を上げた。
標的まであとわずか。
これでうなじを切り落とせれば完璧だ。
誰もが固唾を飲んで見守っていた、その瞬間。