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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第10章 Come To Me, My Love





兵舎裏の森にある、立体機動の訓練場。

どんな熟練の兵士でも三半規管や空間把握能力は実践しないと衰えるので、定期的な訓練が義務付けられている。

サクラはガスボンベを運んできた手押し車に腰掛け、ぼんやりと木から木へ飛び移っていく兵士達を眺めていた。

どうしてもそこに探してしまうのは、黒髪で小柄な彼の姿。
こんなところにいるはずはないのに。


「私、本当にどうかしてる・・・」


こんなに誰かを想うだけで苦しくなったことはない。

後頭部がズキズキと痛んだ。
触ると、大きなタンコブがいくつもできている。

馬鹿だな。

貴方の事を考えていたら、ボーッとしちゃって、ガスボンベの下敷きになりました・・・
なんて言ったら、きっと呆れるだろう。


「兵長・・・」


本当に、少し顔を見るだけでいい。
多くは望まないから、会いたい・・・

そう思った時だった。


突然、訓練をしていた兵士達がざわつく。


「リヴァイ兵長!」


誰かが叫んだ。
その声にサクラも慌てて顔を上げると、兵舎の方からこちらへやってくる兵士長の姿が見えた。


「兵長、どうなさったんですか?」
「立体機動の指導をしてくれるんですか?」

リヴァイが立体機動訓練場にくる事など滅多にない。
もしかしたら稽古をつけてくれるつもりなのかもしれない、と兵士達は群がった。
しかし、当のリヴァイにはそのつもりはないようだ。

「うるせぇな、お前ら・・・」

大勢に囲まれながら、誰かを探すように辺りを見回す。
しかし小柄なリヴァイは、すぐにその姿が兵士達に埋れて見えなくなってしまった。


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