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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第10章 Come To Me, My Love



「サクラ! 危ない!」

「・・・ん?」

と思った時は、時すでに遅かった。


ガコンッ ガコンッ ガコンッ ガコンッ・・・


すごい音をたてて、ガスボンベが床に散らばっていく。
後頭部にいくつも強い衝撃を与えながら。


「・・・だいじょうぶ?」

耳鳴りと一緒に、友達の声が聞こえる。

「サクラ・・・あんた、10個のガスボンベをぜんぶ頭にヒットさせたけど・・・生きてる?」

後頭部に走る激痛。
やばい、割れてなければいいけど。

「なんとか生きてる・・・けど、私の頭、くっついてるよね・・・?」

「首にはくっついてるよ、いちおう」

「・・・脳みそ、出てないよね?」

「出てないみたいだよ、いちおう」

・・・痛すぎて泣きそう。


なんでこうなった・・・?
ああ、そうだ。
午後から立体機動の訓練を行うから、倉庫にガスを取りに来たんだった。

すると、一緒にいた友達はもう我慢できないとばかりに、腹を抱えて笑い出した。

「サクラ、ボーッとしながら棚の上に置いてあったガスボンベを括っているバンドを外しちゃうんだもん。こうなるのは当たり前だよ」
「・・・・・・・・・・・」
「あははは、ここまでいくとギャグだね!」

・・・薄情だが、笑われても仕方がない状況であることは間違いない。
踏みつけられたカエルのように床に倒れている姿は、自分でも滑稽だった。


「最近のサクラ、なんか変だよ。いつもうわのそらで、時々よだれ垂らしてるもん」
「うそ?!」
「うん、それはうそだけど。でも変なのは本当だよ」

同じ102期調査兵の友達はクスクス笑いながら、サクラに向かって手を差し伸べてくれる。

「私・・・そんなに変かな」
「なんかつらそうだよ。何か悩みでもあるの?」
「・・・・・・・・・」

ここで、リヴァイに会えないから、などと言ったらなんて顔をされるだろうか。
兵長に恋をするなんて、やめておいた方がいいと言われるかもしれない。
どう考えたって、他人から見れば釣り合わないだろう。

やはり・・・言えない。

「とにかく、午後の訓練は休んだ方が良さそうだね。頭、タンコブできてるんじゃない?」
「・・・うん・・・」

サクラはガックリとうなだれながら、散らばっているガスボンベを拾って手押し車に乗せた。

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