【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第10章 Come To Me, My Love
二人だけの壁外遠征から1週間。
普段の日々に戻ると、リヴァイとサクラは会話どころか顔を合わせることがなかった。
そもそも一般兵士は、直属の上級士官以外と接する機会がめったにない。
リヴァイ班の人間ならまだしも、サクラが普通に生活していて兵士長と気軽に会えるわけがなかった。
それでも、何度か姿だけは見かけることはあった。
今朝もハンジの作業室へ向かう途中、前を通った団長室でエルヴィンと話しているリヴァイが目にとまった。
揺れる黒い髪、ほとんど表情のない横顔を見るだけで、胸がキュッとなる。
でも、とても真剣な雰囲気だったので声をかけられなかった。
そうでなくたって忙しい人だ。
好きだからこそ、重荷になってはいけない。
自分は一兵士でしかないのだから立場をわきまえなければ・・・
「我慢しなきゃ」
リヴァイに求められた時だけ、応えればいい。
自分からは望んではいけない。
“サクラ・・・愛している”
目を閉じれば、こうして声を思い出すことができる。
背中から抱きしめられた感触だって残ってる。
だいじょうぶ・・・
不安にはならない。
そう自分に言いきかせて・・・