【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
リヴァイという人間をほんの少し、深く知ることができてから数週間後。
ハンジは、サクラ・ブルームの存在を知った。
それは、ある夏の日。
エルヴィンの使いでウォール・ローゼ南方面を訪れた時、その地区にある訓練兵団で教官をしているキース・シャーディスを訪ねた。
「それで、エルヴィンは元気にやっているか?」
ハンジとモブリットにお茶を出しながら、キースは二人の胸元にある調査兵団のエンブレムを懐かしそうに見た。
ほんの少し前まではハンジやエルヴィンを率い、団長として壁外に行っていた男だ。
今は訓練兵に向かって檄を飛ばす役目となっているが、やはり古巣は気になるものだろう。
「長距離索敵陣形もだいぶ形になってきたと聞くぞ」
「はい。犠牲の数は劇的に減りました」
ハンジがそう答えると、キースは複雑そうな表情をした。
モブリットが肘で分隊長を小突く。
「あ、いや、別にキース団長の頃と比べているわけでは・・・」
「気にするな、ハンジ。それに私はもう調査兵団団長ではない」
「・・・・・・すいません」
ハンジを新兵の頃から知るキースは、訓練兵達に見せているような鬼の形相ではなく、穏やかな上官の顔に戻っていた。
「ところで、ハンジ。これから102期の適性を調べる面談を行うが、見ていくか?」
「102期というと、年明けには訓練過程を終える子達ですね?」
「ああ、すでに何人かは調査兵団への入団を志願している者がいる」
「へえ・・・それは珍しい」
ほとんどの者は憲兵団か駐屯兵団を目指すというのに・・・。
この時期から調査兵団を希望するというのはあまり聞かない。
ハンジは少し興味が湧き、面接を見学していくことに決めた。