【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
娼婦はおずおずと、戸口に立っているリヴァイにも目を向ける。
「では、私にも太陽の下で・・・リヴァイ様のお側で働くことができますか?」
すると、リヴァイは抑揚のない声で答えた。
「それはお前の実力次第だ。すぐ巨人に殺されるような弱い奴は俺の班には入れない。だが・・・」
ふと顔をあげ、その娼婦が見たことのない兵士長の表情を見せる。
「お前とは一度や二度の間柄じゃねぇ。もし、俺の部下になるなら、お前の命には責任持ってやる」
兵士長のその言葉を聞いた瞬間。
娼婦は大粒の涙を流した。
そして、男を魅惑するためではなく、心からの笑顔を見せる。
彼女はもはや娼婦ではなく、少女に戻っていた。
「ありがとうございます・・・ありがとうございます・・・・・・」
古ぼけた売春宿の部屋に、少女の声がいつまでも響いていた。
数カ月後。
調査兵となるべく105期訓練兵団に入団した、一人の少女。
かつて男の欲望のために身を捧げていた彼女は、
人類のため、そして尊敬する兵士長と分隊長のため、身を捧げることを新たに誓っていた。