【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
リヴァイ。
なんで君は自分が生きていることを忘れたいの?
「リヴァイ・・・人の温もりって優しいでしょ? どうしてか分かる?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「それは、命を感じることができるからだよ」
人の体温は、命が危険に晒されると熱く、命が消えようとしていると冷たくなる。
でも、優しい温もりの時は、その人が無事にそこにいてくれるという証なのだ。
「だから、悲しい時、つらい時に誰かに触れてもらえたり、抱きしめられると安心するでしょ」
「さあ・・・わからねぇな」
無気力なリヴァイの声。
「俺はこのクソみてぇな世界に生まれた時から、人の温もりとやらを感じたことがない」
愛情。
優しさ。
慈しみ。
そんなものは知らずに育った。
常に必要とされたのは、強さのみ。
「誰かに触れてもらった記憶も、抱きしめられた記憶もない」
憎悪。
怒り。
悲しみ。
それだけを糧に育ってきた。
だから、自分も常に必要としてきたのは、強さのみ。
そうしてリヴァイという人間が、今ここにいる。
「なあ、ハンジ。お前の目に見えているこの世界に、“色”はあるか?」
リヴァイは真っ暗な天井を見上げて呟いた。
「色・・・?」
「俺にしてみれば、この世界はすべてクソだ。汚ぇ色の一色で、空気も臭ぇ・・・だが、きっとそれだけじゃねぇ」
「・・・・・・・・・・・・」
「お前達と一緒にいれば、いつか出会えるかもしれねぇ・・・」
この世界も悪くないと思えるような、景色を見せてくれる。
優しい温もりを教えてくれる。
そんな存在と・・・
「エルヴィンの野郎には、これまでになかったほどの痛みと屈辱を味わされたが、同時にその可能性も教えてもらった」
そう・・・
それが、リヴァイがエルヴィンや私達と一緒にいる理由なんだね。