【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
ハンジの首元から、うっ血した手が下ろされる。
「・・・ハンジ・・・」
「私を簡単に殺せると思うな。同時に、私が簡単に死ぬとも思うな」
リヴァイはしばらくハンジを見つめていた。
そして、ふと苦しそうに顔をしかめると、そのままドサッとベッドに座る。
「・・・すまねぇ」
紫色に変色した自分の手を眺めながらポツリと呟いた。
「リヴァイ。君の側に行ってもいいか?」
「・・・・・・・・・・・・」
ハンジは返事を待たずにリヴァイの側へ歩み寄ると、膝を床について下から見上げた。
「こんな風に人を抱くようになったのはいつからだ・・・?」
ベッドから半身はみ出た状態で気絶している娼婦に目をやる。
「・・・さあな。初めからだったかもしれん」
「こんなやり方が気持ちいいの?」
リヴァイは前屈みになって顔をしかめた。
「気持ちいいとかはねぇよ。ただ、忘れられる」
「忘れられる? 何を」
「部下が死んだこととか・・・俺が生きていることとかだ・・・」
その瞬間、ハンジの瞳が大きく開いた。
なんて・・・
なんて、悲しい言葉なのだろう。
「ハンジ・・・? なぜ泣いてる?」
ハンジの綺麗な茶色の瞳から、大量の涙が零れ落ちていた。