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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第3章 Seize the Light


「知っての通り、巨人は死ぬと死体も残らず無に還る。私達に何も情報を残さずにこの世から消えて行くんだ。怖いのはそこなんだよ。無に還るくせに、絶滅はしない。生殖器がないくせに、“生まれて”くるんだ」

巨人と戦うのは、この世界の全ての砂を一粒一粒数えるようなものではないか。
終わりのない戦いで、いつか人類の絶滅が先に訪れるのではないか。
その疑念に負けた時、兵士は剣を持てなくなる。

なぜ生まれてくるのか、
なぜ無に還るのか、
なぜ人間だけを狙うのか、
それらが分からなければ、私達の戦いに終わりはこない。

でもね、とハンジは悲しそうに微笑んだ。

「無駄だと思っていて立ち向かうことができる勇気には、限界がある。でも、“こうすれば巨人は絶滅する”という知識があれば、それは勝利への希望となって勇気の限界は無くなる」

そう・・・
立体機動装置、巨人へ致命傷を与える方法、
先人が命がけで得た知識を受け継いだからこそ、私達は剣を持って巨人と戦うことができる。


「残念ながら今の知識だけでは巨人を滅ぼすことはできない。今にも希望の灯火が消えようとしているんだ。だから私達は巨人の生態調査をしなければいけない。わかるかな?」


・・・やはり・・・

この人には驚かされてばかりだ。

“お前、ハンジ班に入ったなんて災難だったな”
“あの人は調査兵団・・・いや、世界で一番の変人って話だよ”

そう言って、私に憐れみの目を向けてきた同期たち・・・何も分かってない。

この人ならきっと見つける。

人類の希望をーーーー

だから私は・・・


「ハンジ分隊長・・・私は・・・・・・」


先人達が残してくれた、希望を捨てません。
先人達が見つけられなかった、希望を見つけます。

そして、必ず・・・


「命に換えても希望を守り続けます。人類が自由を取り戻す、その日まで」


ハンジはゆっくりと瞬きをすると、優しい表情を浮かべてつぶやく。


「ほら。私の目に狂いは無かった」


サクラの決意に共鳴するかのように、壁にかけられたランプの炎が力強く燃えていた。
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