【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
「じゃあ、てめぇが俺を満足させてみるか?」
「・・・・・・・・・・・・」
ねぇ、リヴァイ。
どうしてそんなに冷たい目をしなければならないの?
「・・・残念だけど、私は男性に興奮を覚えない」
「そもそも、お前は人間に興奮するのか?」
「リヴァイこそ、私相手に勃たないでしょ」
スッと、リヴァイの手がハンジの喉元に触れる。
次の瞬間、頸動脈を圧迫するように強く絞めてきた。
「俺は相手に興奮しなくても突っ込むことはできる。試してみるか?」
「はは、ごめんだね」
ハンジは笑いながら、首を絞めてくるリヴァイの手首を掴む。
「殺されてから突っ込まれるなんて、まっぴらだ」
ギリギリと手首を掴んでくる力が信じられないほど強く、それにはリヴァイも驚きを隠せなかった。
うっ血し始める自分の手を、冷たい三白眼がじっと見つめる。
「でも、リヴァイに私は殺せない」
「・・・なんだと? 大した自信じゃねぇか」
「だって、初めて会った時もできなかったじゃないか」
その瞬間、初めてリヴァイの瞳に人間らしい色が浮かんだ。
それを見たハンジは、儚げに微笑む。
「私を殺そうとしていたでしょ。隠し持っていたナイフで」
あれは、リヴァイにとって初めての壁外遠征。
仲間とある“計画”について密談していた時、ハンジが乱入してきた。
話を聞かれたと思ったリヴァイは、その場でハンジを殺そうと、マットの下に隠していたナイフを掴んだ。
しかし、ハンジは単にリヴァイの立体機動装置の扱い方を知りたいというだけだったので、その時に血が流れることはなかった。
「リヴァイに殺意があったことくらい分かっていたよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「私をナメるなよ、リヴァイ」
低く、唸るような声。
静かな水面に石を投じるように、闇に閉ざされたリヴァイの心を動かした。