【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
「私の友人の部屋はどれだ? 連れ戻す」
「そりゃ勝手だが、あんた殺されるぜ? すげぇ殺気立っていたからな」
「・・・私は殺されないよ」
ハンジはメガネの奥から笑顔とも、泣き顔ともつかない表情を見せた。
「リヴァイは、私を殺せない」
だから、自分が行かなければ。
闇の中にいる彼を救ってあげられるかはわからないけれど。
「そうか・・・ま、好きにしな。一番奥の部屋だ」
「ありがとう」
ハンジは軋む階段を昇った。
もし、行為の最中だったら終わるまで待つつもりだった。
正直のところ、もう一瞬も長くこんな場所にいさせたくない。
早く兵舎に連れ戻して、そこが彼の居場所だということを教えたい。
リヴァイ・・・
もし君に友人も仲間もいないのなら、私がなろう。
必要がないと言っても、私はなろう。
それだけの覚悟を持って部屋にやってきたハンジだったが、ドアの向こうから微かに聞こえてきた声を聞いた瞬間、全身の血の気が引いた。
「あ・・・ガッ・・・・・・ぐぅ・・・」
それは女の声だった。
しかし、とても快感に喘いでいるとは思えない。
まるで・・・
苦痛に喘いでいる声・・・!
「ギギギ・・・」
だんだんと細くなっていっていく声。
ポン引きが言っていた言葉を思い出す。
“参ったことに、あの旦那の相手をした女は半殺しにされるか、二度と男を悦ばせることができねぇ体にされちまうんだよ”
半殺し・・・?
リヴァイ、貴方まさか・・・!
「リヴァイ!!」
ハンジはドアのノブを回した。
鍵がかかっていないのに力いっぱいドアを押してしまったせいで、転がるようにして部屋に入る。