【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
調査兵団の出発を告げる鐘が鳴る。
200を超える馬が一斉にウォール・マリアの地へと飛び出した。
その時の天候は快晴。
作戦の成功を祈るかのように、明るい空が広がっていた。
しかし、それは1時間もしないうちに急変する。
あれだけ穏やかだった空が、ふと気がつけば黒い雲に覆われていた。
トロスト区を出発してから50キロほど進んだところで、エルヴィンは馬の速度を緩めた。
「・・・荒れそうだな」
このまま前進するか、それとも撤退するか。
「エルヴィン、どうする?」
隣にいたハンジが声をかけてくる。
傍らにいるモブリットも不安そうに天を仰いだ。
「・・・・・・・・・」
まだ予定の半分も来ていないし、今回成果を上げないと次の予算が下りなくなってしまう。
何より、報告を受けているだけで10人が命を落としている。
彼らの死を無駄にしていいのか・・・?
だが、もし判断を誤れば被害はさらに大きくなる可能性もある。
どうすべきか。
エルヴィンは選択を迫られた。
今のところ、陣形のどこかで壊滅的被害を受けたという知らせはない。
「総員、そのまま前進せよ!」
エルヴィンは進行方向へ向かって信煙弾を放った。
まだ雨は降っていない。
限界までは進むべきだ。
そう思っての決断だった。
おそらく、それは間違いではなかっただろう。
この時、大量の巨人が最後列を襲っているという事実さえなければ・・・