【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「リヴァイ兵長、エルドです」
兵士長専用の部屋をノックしても返事がない。
エルドは首をかしげた。
留守ならば、きっとエルヴィン団長の所にいるのだろう。
それならこの廊下を少し行った所だ。
そこへ向かう途中、一人の女兵士がこちらに歩いてきた。
あれは・・・確か、ハンジ分隊長のところのサクラ・ブルーム。
ペコリとエルドに会釈をしたその顔が少し強張っていた。
どうしたというのか。
エルヴィン団長の執務室から来たのだろうが、何かあったのだろうか。
嫌な予感が胸をよぎる。
そして、エルドがエルヴィンの部屋をノックしようとした時だった。
「本当にいいの? エルヴィン!!」
いつになく声を荒げているハンジ。
「くどいぞ、ハンジ。俺は許可した」
エルヴィンの声も聞こえる。
「でも! 本当にサクラとリヴァイを二人だけでウォール・マリアに行かせる気?!」
え・・・?
「確っ実に二人とも死ぬよ! 巨人をナメんな!」
死ぬ・・・?
ちょっと待てよ!
エルドは堪らず、ノックすることすら忘れて中に飛び込んだ。
「な・・・なんですか、今の話!」
「エルド・・・」
ソファーに座っていたリヴァイが、少し驚いた様子で顔を上げた。
エルヴィンとハンジも目を丸くして、こちらを見ている。
しかし、構ってなどいられなかった。
「兵長! 今、ハンジ分隊長の声が聞こえたんですけど・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「サクラって、あのサクラ・ブルームのことですか?! 二人だけで壁外に行くって・・・何ですか、それ!」
「エルド、落ち着け」
リヴァイが手で制止するが、エルドの頭に昇った血はそう簡単に引く気配がない。