【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「兵長といえば、最近様子がおかしいんだよな」
「兵長が?」
エルドが眉をひそめ、何かを考えこむ。
「いや、俺の気のせいだったらいいんだが・・・思いつめた表情をすることがあるんだよ」
時々、窓の遠くをじっと眺めたり、園庭の木を睨んでいたり。
もともと胸の内を明かさない性格のリヴァイだが、今回のは少し気になる。
「そういえば・・・さっき、兵長にお茶をお出しした時、机の上に地図を広げていた」
「どこの?」
「あれは、確か・・・」
ウォール・マリア北東部。
「壁外調査か?そんな話は聞いていないぞ」
「兵長がルートを決めるというのもおかしいですよね。その地域に関する資料もかなりあったようだし、まるで・・・」
まるで、個人的に壁外へ出るつもりみたい。
ペトラの言葉にエルドは動揺したのか、側にあったテーブルに足を引っ掛けた。
ガタンという音が給湯室に響く。
「まさか・・・俺達に何も言わずにか」
「た、ただの憶測。もしかしたら団長のお手伝いをしているだけかもしれないし」
「・・・そうだな」
いくらリヴァイでも、それは自殺をしに行くようなものだ。
あり得ない。あり得ないことだ!
「リヴァイ兵長に直接聞いてくる」
「聞いてどうするの? 怒られるだけかもしれないよ」
「どっちみち、このままじゃ落ち着かないからな。差し支えなければ教えてくれるだろう」
エルドは心配そうにしているペトラの頭をグシャッと撫でた。
「それにお前は兵長のことが気になっているんだろ?」
「そ、それは! 上官として尊敬しているっていうイミで・・・」
「わかったわかった。そういう事にしておこう」
顔を真っ赤にしているペトラを見て、悪戯っぽく笑いながら給湯室を出て行った。