【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
おまけ 〜その2〜
(P. 143の後ぐらいのお話です)
「お前、紅茶を淹れるのうまいな」
その言葉は、ペトラにとって一番嬉しいものだった。
調査兵団に入って、2年。
少しでもリヴァイに認めてもらえるよう、毎日努力を重ねてきた。
いつかは特別作戦班に指名され、兵士長の傍らで力になりたい。
それだけではない。
リヴァイが紅茶を好むことを知れば、一番美味しいとされる淹れ方を学んだ。
誰よりもリヴァイのことを想ってきた。
誰よりもリヴァイを見つめてきた。
だから、わかる。
「俺がもし、お前を命の危険に晒したらどうする」
この人が何故、こんな質問をするのか。
それに対する自分の答えに何故、感謝の意を述べたのか。
リヴァイ兵長・・・
貴方には、どなたか大切な方がいらっしゃるのですね?
そして、その方を危険な目に遭わせてしまうかもしれない。
そんな恐怖に耐えていらっしゃるのですね?
どうか、心配なさらないでください。
貴方の大切な方は、きっと兵長の優しさを理解しているはずです。
どうか、ご自分を責めないでください。
その方は貴方に想われている、それだけで世界で一番幸せな女性なのですから・・・
「どうした、ペトラ?」
水を飲むために給湯室に入ってきたエルドが、涙を拭いているペトラに気がついて目を丸くした。
「エルド・・・」
「何かあったのか?」
リヴァイ班ナンバー2のエルドは、ペトラが新兵の頃に同じ班だった。
それ以来、何かと面倒を見てくれている。
「いえ・・・今、お茶を兵長に出して来たところで・・・」
「兵長に何か言われたのか?」
「ま、まさか! 目にゴミが入っただけ」
そんな見え透いた嘘は通るわけがない。
しかし、エルドは信じたふりをしてくれた。