【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「そこまで言うなら、お前こそブルームを死なせずに戻ってこい」
「・・・・・・・・・」
「俺に何か言うのならそれからだろう」
「まぁ・・・そりゃそうだな」
リヴァイは肩をすくめた。
すると、エルヴィンの顔に微笑が戻る。
「安心しろ、切り札は大事にとっておくから意味がある」
しかし、リヴァイ。
切り札も、出す相手がいなければ大事にしておく意味がない。
それを肝に銘じておけ。
「お前達が無事に帰ってきたら、ブルームの命は俺が預かる。いいな」
「・・・ああ、それでいい」
お前を信じてやる。
リヴァイはエルヴィンに背を向けた。
「どこへ行く? まだせっかくの酒に口をつけていないだろう」
「いらねぇよ。戻ってきたら付き合ってやる」
座っていた所に置かれたままのグラスを指差す。
「祝い酒にちょうどいい」
すると、今度はエルヴィンが肩をすくめた。
「弔い酒にならんといいがな」
「バカ言え。いらん危惧だ」
俺ほど信用できる相手はそうはいないんだろ?
奇遇だな。
俺もそうだ。
お前ほど信用できる相手はそういない。
リヴァイはそっと目を閉じた。
そして、まだ知らぬ“桜”という花の中で微笑む愛しい姿を想う。
切り札でも何でもいい。
調査兵として人類に心臓を捧げたあいつの命を守ってくれ。
エルヴィン、お前なら俺よりもそれができる。
サクラが幸せそうに笑う・・・
その姿をいつまでも見ていたい、それだけが望みだ。
リヴァイは目を開けて天を仰ぐと、そのまま屋上を後にした。
おまけ 〜その1〜 おわり。